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2011.04.27

ガイガーカウンターのキットはおかしい

自分でガイガーカウンターの回路を組めるようになると、この前買ったガイガーカウンターのキット (Chaney electronics の c6979) の回路がおかしいことがわかってきた。

息を吹きかけるだけでLEDが点きっぱになって反応しなくなるし、25mA も食ってるから、おかいいとは思ったのだが。

こういう商品の回路図を晒していいのかよくわからないが、$89.95 もする割には酷い回路だと思うのでさらしてみる。(値は別紙だし問題無いはず。)
CIMG2230
まず、高圧側のグランドが浮いている。なのに信号検出する FET (Q2) も TR (Q3) もグランドは低圧側のグランドに繋げている。トランス (T1) の中の浮遊容量で結合されているのだとは思うが、そんな結合をあてにされた回路じゃ困る。温度や湿度にすごく依存してしまう。息を吹きかけただけで動作しなくなるのは、このせいだと思う。自分の回路ではグランドは共通にして安定しているし、他の回路を見ても共通になっているのしか見つからない。

高圧側の電圧を平滑するコンデンサーが無い。1KV 3300pF なコンデンサをを付けるだけで、結構安定するようになった。いくつかのガイガーカウンターの回路を見たが、省略しているのはこのキットだけ。平滑しないと電圧が下がったタイミングでは検出ができないはず。電力ももったいない。

高圧発生用のパルスはタイマー IC 555 から出してるが、6pin と 7pin を直結してるのはおかしい。小学生の頃から 555 を使ってるので、なんとなくおかしいと感じただけだけど、秋月のキットの回路を見ると 100Ωが入っていて、100~180Ωの間で調整することになっているので、やっぱりおかしいと思う。この抵抗でパルス幅を決める。値はトランス (T1) に依存するので、0Ωでもいいと言えばいいもかもしれないけど、、、

GM 管のアノード側の抵抗 (R3) が低すぎる。100KΩになってる。GM 管 (SBM-20) の仕様では 1MΩ~5MΩ となっているし、実際に自分の回路では 1MΩ ではパルスが割れて2回検出されることがあり、3MΩは無いと安定しなかった。

。。。と、おかしいおかしいと書いてみたが、超ソフト屋な私はハードのことはたいしてわかってないので後学のためにツッコミを期待します。。。

自分の回路は、こちら

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ガイガーカウンター」カテゴリの記事

コメント

後学の...と云う内容になっているか微妙ですがキットの回路の感想を 

NE555の6番pinに繋がる抵抗についてはC2の放電時の時定数に影響を
与えます、回路の定数では可能な限り短時間で放電する事になります。
Q1のTrのベース電圧がエミッタより低いときTrがOnになりトランスの
1次側に電流が流れますが、その変化が急激なほうが2次側に高電圧を
誘起できる為、意識的にしていると考えられます。
6番pinの抵抗がある場合オシロで波形を見れは三角波に近いものですが
この回路では、ノコギリ波のような波形になります。

>高圧側の電圧を平滑するコンデンサーが無い。
コンデンサを追加すると検出確率も向上し、安定した動作になると思います。
気になるのは、GM管の放電回数とその際の電流が増える方向となる為
R3の変更とセットにすることでしょうか。

>息を吹きかけるだけでLEDが点きっぱになって
GM管で放電し電荷を失ったC3が、再度充電される際に一瞬電流が流れるのを
利用してLEDをつけています。その際にQ3のTrのベースに高電圧を掛けない為に、
R6はかなりの高抵抗の筈です。
少ない電流でLEDを駆動する為、Q3はダーリントンTrを使用しています。
C3が湿気を吸うなどしてリーク電流が生じていれば点きっぱなし 
薄暗くついているなどの状態になると思います。

>GM管アノード側の抵抗が(R3) が低すぎる
恐らく、GM管の寿命とか正確なカウントの為に波形をきれいにする事より
放電時間を長めにすることにより、LEDの視認性向上やスピーカーが
確実に鳴ることを重視したものと思います。

回路のインピーダンスが高い構成で、
大げさに言えば、きわどい動作といえるでしょう。
少ない部品点数でこなす為の構成と思います。

投稿: 圭一 | 2011.05.07 18:47

圭一様、
コメントありがとうございます。勉強になります!


555 は、6pin と 7pin が直結されても誤動作しないのですかね?
パルス幅を狭くしたいので低抵抗になるのは理解できるのですが、本来なら C2 を小さくして数百オームでも入れるべきなのでは?と思ってました。
specification の回路には抵抗が入ってますし、素人考えでは抵抗入れて C2 を小さくする方向で考えてしまいます。


> C3が湿気を吸うなどしてリーク電流が生じていれば点きっぱなし 
なるほど、そっちですか、C3 でのリークでしたか。
確かに C3 付近に息をかけるとダメな気がします。
高圧側を平滑してないから、常にリークというかコンデンサの正しい動作として常に電流が流れる気もするのですが、C3=10pFと少ないのでほとんど流れず、湿気の方がリークが多くてLEDが点いちゃうってことなのですね。


> 放電時間を長めにすることにより、LEDの視認性向上やスピーカーが確実に鳴ることを重視したものと思います。
なるほど、誰が作っても成功するように、寿命よりも確実性とか演出とかが優先される訳ですね。

でも、、、
このキットの型番 C6979 でぐぐると出てくる
http://www.eetimes.com/electronics-blogs/other/4214905/My-Geiger-counter-doesn-t-count--sob-sob-
ここでは、LEDが点きっぱで反応しない、と言っている人が結構居ますw
たぶん、湿気が多いか、基板を素手で触ったときの油分とかでリークしてるんだろうな、と思うのですが、これだけ動作してない人がいると、やっぱりこのキットの設計は甘いんだなぁと思ってしまいます。
コンデンサを追加しろとか、グランドを接続しろとか、言ってる人は居るけど、ドライヤーで乾かせとか、無水アルコールで油分とかフラックスとかを除去しろ、と書いている人は居ませんね。うちでは、これだけでも安定するのですけど。

投稿: Salt | 2011.05.08 18:40

私もこのキットを購入しました。やはり回路が変?と思い手持ちの秋月電子ガイガーカウンタキットのと比較して納得しました。現在は計数管のみを秋月電子の方へ移植して正常に動作しています。

投稿: お茶の水博士 | 2011.05.16 23:59

やっぱ変ですよね。
私も、GM管だけ取って、自作の回路で駆動してます。
http://homepage1.nifty.com/salt/GeigerCounter.htm

Web拝見させて頂きました。可視化、すばらしいですね。私もそんな感じのやりたいです。USB接続でカウントは取得できたけど、気軽なサーバーが無くて頓挫中。。。

投稿: Salt | 2011.05.21 12:57

自作の正確に動くのであれば、欲しいです、、、!!!

譲っていただくことは可能でしょうか?

なかなか高くて買えませんので、、、

投稿: つぶく | 2011.05.23 14:41

Chaneyのキットの回路解析ありました。
http://www.utsunomia.com/y.utsunomia/quench.html
この解説によると結構メリットがあるようにも思えてきます。「息を吹きかけると、、」とありますが、まさにそれでLEDが絶縁不良を教えてくれる、
ということのようです。

投稿: kuwa | 2011.05.23 18:19

>> つぶく さん
ただの趣味レベルなので、正確さは不明ですし、ちゃんとした製品を買われた方がいいと思いますよ。
でも、そもそもGM管では放射線の数がわかるだけで、放射線の強さはわからないので、市販品を使ったとしてもGM管を使っている安価な製品では数しかわからず自作との差は無いようにも思いますね。(もちろん、数から [uSv/h] とかの単位に換算はしてくれますけど、正確さとしては数だけ数えてるのと同じで強さはわからないですよね。)


>> kuwa さん
なるほど。奥が深いですね。
「触れてしまったときの感電の強度が増す」から高電圧コンデンサを省略した回路を考案してる、「電池ではなくトランス式の9VのACアダプターを使われる可能性がある」から外部クエンチングできる回路を考案してる、その結果「内部クエンチングの無い管でも使用できる」ってことですかね。すごい、すごすぎる、そういうことだったのか。

でも、みんな使ってる 4700pF ぐらいでは、冬の静電気でバチッとする程の強さを感じることはできないし、小中学生がアダプタ接続するような改造までするか?という疑問が残ったりはしますけど。。
いや、一番の疑問は大雑把なアメリカ人が(失礼)そんな高度な考慮をしているのかってことだったりw

投稿: Salt | 2011.05.24 01:26

>>Saltさん

私はDTIのVPSを借りています。
月980円で好き放題何でもできますよ。

>>一番の疑問は大雑把なアメリカ人が(失礼)そんな高度な考慮をしているのかってことだったりw

私も同じ疑問を持ちます~
やはり手抜きにしか見えないんですよね
素人が内部クエンチングの無い管に置き換えると思えないので、セットになっている管に最適化した回路にすべきでしょう
でもkuwaさんの解析にも一部同意します。

>>つぶくさん

私もちゃんとした製品を購入することをお勧めします。
自作ユーザは「自分が使えれば良い」との考えで作っています。そのため使い勝手やメンテナンス性が犠牲になっている場合があります。
私も自作しましたが、他人がこれを使いこなす事は無理だと思っています。

>>kuwaさん

非常に参考になりました。ありがとうございます。
リークに関して、私も仮置きの時にショート防止のため基板裏面に絶縁用ビニールテープを貼ったら、それが原因でリークしました。
小中学生向けのキットには、それなりの配慮が必要と納得しました。

投稿: お茶の水博士 | 2011.05.24 11:26

このキット、私も買って組立てたら、動きがおかしかったです。
で、いろいろとしらべたところ、回路としては、アノード抵抗が推奨値(5.1MΩ)になっていないことは問題としても、他には、そんなに変なところはなかったので、具体的にいろいろ測定してみました。
すると、電池とGM管SBM-20の動作電圧範囲に問題が有りそうだということがわかりました。
このキットはできるだけ部品を少なくするように設計されているようで、定電圧電源(レギュレータ)も使っていません。実際に計測してみると、確かに5V~9VでSBM-20の動作電圧が発生するようになっています。ただし、9VあたりでSBM-20の動作電圧範囲ぎりぎりの電圧になっています。新品の9Vの電池をつなぐと放射線を検知しなかったり、感度が悪いとがあります。古い電池だと動作します。
そこで、電池の接続部分にダイオードをつないで電圧を下げると、新品の電池でも快適に動作するようになりました。
このキット以外にCPMとμSV/hが表示される市販のガイガーカウンタも入手して使っていますが、実際に放射線が付着しているのかどうかどうかなどは、このキットのほうがわかり安いですね。
安価な市販のガイガーカウンタの数値なんて、実際に使ってみると、平均観測窓が一定でないようで、表示される数値は遅延が相当にあるため、定点における空間線量計測には向いてるかも知れないですが、放射性物質が付着しているか否かについては、役に立たないとうのが実感です。
それに、市販ガイガーカウンタは、安価とはいっても、このキットの数倍もする価格だけど、マントルを近づけて調べると、検知感度はこのキットのほうがいいですね。
いろいろと実験してくると、BGがすくないGM管を利用したガイガーカウンタが表示するCPM,μsv/hの数値の正確性を追求する意味はなく、目安としての数値でしかないわけで、大事なのは、増えたかどうがということだと、最近、思うようになりました。
移動平均の観測窓が一定で、短くしたり長くしたり設定できるものがあると、遅延を少なくすることができて、増えたかどうかをすばやく検知するのに、役立ちそうなんですよね。
そんな市販のガイガーカウンターというのはあるんでしょうかね。あれば、手元にある市販のガイガーカウンタを買いなおしたいと思ってます。
シンチレーション方式でしっかりしたものは、数十万円以上で、手が届きませんから、安価なガイガーカウンタで、役立ちそうなもの探してます。
プリピャチみたいなものに、最近は興味を持ち始めてますが・・・。

投稿: jun | 2011.09.10 21:53

はじめまして。私もChaneyのキットについての記事を書いた手前、コメントさせてください。
回路や動作状態について、興味深いという点では今でも意見は変わってはいませんが、得失を考えると、日本の気候になじまない(リークが多い)ところは確かにあります。ガイガーカウンターを作るワークショップをシリーズでやっていますが、実は東京滞在中の最終日にChaneyのキットをはじめとするキットのケア大会を非公開で行いました。そのときに持ち込まれた多くのChaneyはやはりリークが悪化したものが多く、拭き清めだけでは回復できないものがあったばかりか、部品(トランス等)に問題があるものもあり、結構手荒さが目立ちました。正直なところ、このような個体に有効な手っ取り早い方法は、5MΩのアノード抵抗と、高圧コンデンサ2200PFの追加です。電圧はやや高いですが、動作は確実でしょう!
しかしガイガー管の中には直流バイアスではどうしてもうまく動作しないものもあり、そんなときにChaneyの回路はひとつのヒントになると思います。そのような理解でよろしくお願いいたします。

jun様
高速測定と一定の安定性を得るには、ガイガー管の大型化しかありません。最低でもSBM-20程度、あるいはその2倍から4倍あると、実戦的です。また、少ないカウント数で数値が安定しないのは数学的に当然で、utsunomia.com推奨の定確度計測をぜひ試してみてください。
プリピャチ、ジュピターSIM-05などはこのような背景から、実戦でつかえるようにSBM-20が2本使用されているわけです。もし安価にSIM-05が入手できれば、改造がたやすく、良い結果燃えやすいので、改造記事を書こうと思っています。改造しないならプリピャチです。しかしプラスティックの成型は極悪です・・。

投稿: y.utsunomia | 2011.10.02 23:43

>>y.utsunomia様
 放射線の発生がポアッソン過程であることは、以前より、奥村先生などのページなどを参考にして知っていましたが、一定カウント値での計算で、計測ばらつきを一定以内におさえられるような安価なガイガーカウンタがないように思います。しかも、一定時間のカウント値からの計算が、移動平均ではなく、過去の平均CPM値から次の計算時間でのカウント値で計算されるものがほとんどで、環境変化に対する即応性が移動平均に比較すると非常に遅いというものがほとんどです。そこで、あきらめて、自分で作成することで、いろいろとためしてきましたが、やっとマイコンやパソコンでも実現できるようになりました。SBM-20も5本入手して、実験していますが、y.utsunomia先生の説明を参考に一定カウント値で計算するようにしたところ、いい結果がえられており、食品の汚染についても、ある程度の目安でしかないかもしれませんが、有効に反応しているようです。

投稿: jun | 2011.11.27 17:14

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